第33回ひと・健康・未来シンポジウム2025京都
「ポストコロナを探る:パンデミックは私たちの社会と生活をどう変えたのか」

2025.02.27 publish

開催概要

企画の意図

新型コロナウィルス感染症は世界で6千万人、国内でも3万人の死者を出した未曾有の大惨事であり、私たちを3年間に亘って麻痺させた。その影響は医療ばかりか社会の隅々に及び、移動や集合はもとより普段の出会いや対話までもが厳しく制約された。パンデミック終焉にある私たちは異常な3年を忘却しようとしているが、その間に社会が変化し自身も変貌したことへの気づきも失ってはならないだろう。医療、社会、人間関係から繙く。

開催日時

2025年7月5日(土)13:00〜16:05

会場名

ヒューリックホール京都(京都府京都市中京区蛸薬師通河原町東入備前島町310-2 立誠ガーデン ヒューリック京都1F)

申込方法

以下の必要事項を入力の上、ホームページのお申込みフォームよりお申込みください。
お電話・FAXでも受け付けます。
<必要事項>お名前・ふりがな(複数の場合は全員分)・連絡先

担当理事

木原 康樹
地方独立行政法人 神戸市民病院機構理事
神戸市立医療センター中央市民病院 病院⾧
広島大学名誉教授
公益財団法人ひと・健康・未来研究財団 理事
プロフィール

広島大学名誉教授、神戸市立医療センター中央市民病院病院長。京都大学大学院医学研究科卒業、医学博士。京都大学講師を経て、2005年神戸市立中央市民病院循環器内科部長。2008年より広島大学医学研究科循環器内科学教授(初代)として臨床教室を創設し、広島大学医学部長、広島大学副学長を歴任した。2020年4月現職に就任すると同時に新型コロナウィルス大型クラスターを経験し、その後病院の再起を率先してきた。日本内科学会功労会員、日本循環器学会名誉会員、日本心臓病学会名誉会員、日本心不全学会名誉会員、日本超音波医学会功労会員、FELLOW OF AMERICAN COLLEGE OF PHYSICIAN, FELLOW OF AMERICAN COLLEGE OF CARDIOLOGY, FELLOW OF EUROPEAN SOCIETY OF CARDIOLOGY, 日本学術会議第24期会員


企画説明:コロナパンデミックを最前線から振り返る

神戸市立医療センター中央市民病院は2020年4月に新型コロナウィルスによる院内大型クラスター発生を経験し、その後3年間に亘り医療資源を同罹患者の診療に集中して投入した。3000名を超える重症患者を非常事態として診療した最前線では何が見えたのか。何が失われ、何が残ったのか。


講演内容

講演(1)
「コロナ禍は日本の医療をどう変え、どう変えなかったか?」
二木 立
日本福祉大学名誉教授
プロフィール

日本福祉大学名誉教授。1947年生まれ・77歳。医学博士・社会福祉学博士。1972年東京医科歯科大学医学部卒業。東京・代々木病院で脳卒中早期リハビリテーションの診療と臨床研究に従事し、1985年日本福祉大学教授。社会福祉学部長、大学院委員長、副学長・常任理事、学長等を歴任し、2018年3月定年退職。専門は医療経済・政策学。最新著は『病院の将来とかかりつけ医機能』(勁草書房,2024)。

コメント

コロナ禍中に振りまかれた「社会・医療制度が一変する」、「日本の医療制度の弱点が露呈した」「かかりつけ医の制度化等が不可欠」等の(感覚的)言説を、5年間の現実(制度改革を含む)と英独仏医療の現地調査に基づいて検証する。

講演(2)
「硬直化する組織・柔軟な組織ーコロナ禍のフィールドワークを通じて」
磯野 真穂
東京科学大学(前・東京工業大学)リベラルアーツ教育研究院 教授
プロフィール

東京科学大学(前・東京工業大学)リベラルアーツ研究教育院教授。単著に『なぜふつうに食べられないのか―拒食と過食の文化人類学』(春秋社)、『コロナ禍と出会い直す―不要不急の人類学ノート』(柏書房/第33回山本七平賞受賞)などがある。

コメント

コロナ禍では、感染状況に応じて柔軟な対応をする組織と、前例主義に走る硬直化した組織の二つに分かれた。文化人類学の知見を取り入れつつ、二つのタイプの組織の違いを考察する。

講演(3)
「ポストコロナ社会でのヒトの育ちを考える」
明和 政子
京都大学大学院教育学研究科教授
公益財団法人ひと・健康・未来研究財団 理事
プロフィール

京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。博士(教育学)。京都大学霊長類研究所研究員、京都大学大学院教育学研究科准教授などを経て、現在、京都大学大学院教育学研究科教授。
日本学術会議会員、文部科学省科学技術・学術審議会委員、こども家庭庁審議委員等。
ヒトとヒト以外の霊長類を胎児期から比較し、ヒト特有の脳と心の発達の機序とその生物学的基盤を明らかにする「比較認知発達科学」を世界にさきがけて開拓した。
単著に『マスク社会が危ない―子どもの発達に「毎日マスク」はどう影響するか?(宝島新書)』『ヒトの発達の謎を解く―胎児期から人類の未来まで(ちくま新書)』『まねが育むヒトの心(岩波ジュニア新書)』など多数。

コメント

日本では、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたSociety 5.0が目指されています。新型コロナウイルス感染症の拡大がこの流れを一気に加速させました。Society5.0では、利便性の向上、省力化(無駄のなさ)に価値がおかれています。しかし、完成した脳をもつ大人にとっては無駄と感じる経験こそが、ヒトらしい脳とこころの育ちには不可欠です。環境が未曾有のスケールで変化し続ける今、どのような未来を次世代に託していくべきかを皆さんと考えたいと思います。

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